本年は65年ぶりに相続税・贈与税のルールについての大改正が行われ、
生前贈与加算の期間延長や相続時精算課税の基礎控除が創設されました。
数年前から噂されていた暦年課税贈与の廃止には至らなかったものの、
生前贈与加算の期間延長は、今後の生前贈与による節税策に大きな影響を
及ぼすと考えられます。
来年以降も相続税・贈与税に係るホットなトピックを随時挙げて参ります。
来年も本コラムを何卒よろしくお願い申し上げます!
本年は65年ぶりに相続税・贈与税のルールについての大改正が行われ、
生前贈与加算の期間延長や相続時精算課税の基礎控除が創設されました。
数年前から噂されていた暦年課税贈与の廃止には至らなかったものの、
生前贈与加算の期間延長は、今後の生前贈与による節税策に大きな影響を
及ぼすと考えられます。
来年以降も相続税・贈与税に係るホットなトピックを随時挙げて参ります。
来年も本コラムを何卒よろしくお願い申し上げます!
令和5年12月14日に令和6年度税制改正大綱が発表されました。
贈与税も改正が行われる事となりましたが、本年で期限切れの予定だった
住宅資金贈与の非課税制度が延長される運びとなりました。
今回の改正のポイントは以下の通りとなっています。
(1)適用期限の延長
適用期限:令和5年12月31日⇒令和8年12月31日まで3年間延長
(2)省エネ等住宅に係る家屋要件の変更
耐熱等性能等級4以上、かつ一次エネルギー消費量等級5以上
⇒耐熱等性能等級5以上、かつ一次エネルギー消費量等級6以上
まとめますと、
・適用期限が3年間延長
・省エネ等の適用基準が引き上げ※
※上記(2)の基準の数字が大きいほど省エネ性能が上昇
となっています。
なお、その他の内容については改正はありませんでした。
税制改正大綱は法案化され国会審議後、成立の流れとなります。
成立された暁にはまたコラムにてアナウンスさせていただきます!
今年も早いもので12月中旬になりました。
今回は年の瀬も迫っているため贈与のお知らせをさせていただきます。
贈与税は暦年(1月1日~12月31日)単位で計算されます。
また、暦年課税贈与では年110万円までが非課税となっており、
年末には駆け込みで贈与をする人が急増します。
年末は慌ただしさも相まって、あっという間に時が過ぎていきます。
年内に贈与をお考えの場合には、早めの贈与をお忘れずに!
前回は タワマン節税の改正案のうちマンションの評価方法についてご説明しました。
今回は改正の話題から離れて特別受益の持ち戻しについてご説明します。
その前に聞き馴染みないかもしれない特別受益から説明させていただきます。
【特別受益の意義】
通常、相続があった場合、各相続人は民法による相続分に従って相続財産を取得します。
ただし、被相続人が特定の相続人に生前贈与もしくは遺贈をしていた場合、
単純に相続財産に相続分を乗じた計算では不公平を生じるケースが出てきます。
そのため、相続人間の不公平を是正する目的で、過去に行った贈与財産などを
相続財産に含めてそれぞれの相続分を計算します。
特別受益とは、被相続人から受けた贈与や遺贈により財産などの特別の利益をいい、
特別受益を相続財産に含めることを特別受益の持ち戻しといいます。
特別受益の持ち戻しは相続開始前10年以内の贈与又は遺贈について行われます。
不公平を感じる相続人ありきの制度ですので、相続人間で揉め事のないよう
相続財産を分割することをお勧めします。
前回は タワマン節税の改正案のうち、対象となるマンションについてご説明しました。
今回はマンションの評価方法についてご説明します。
【評価方法】
評価水準に応じて、それぞれ評価を行います。
(1)評価水準>100%
相続税評価額×評価乖離率
相続税評価額>市場価格の場合です。
相続税評価額が高過ぎるものと考えて市場価格ベースに戻します。
(2)60%≦評価水準≦100%
相続税評価額
相続税評価額は市場価格と比べて妥当な価額と考えられる場合です。
市場価格と相続税評価額に乖離はないものとして、補正はせず相続税評価額で評価します。
(3)評価水準<60%
相続税評価額×評価乖離率×0.6
今回の改正でメインとなるマンションの評価になります。
相続税評価額が市場価格より大幅に低い場合には市場価格の60%で評価します。
0.6を乗じる根拠は、後記する一戸建ての評価水準が60%程度であり、
一戸建ての評価水準をもって評価することとなっています。
評価にあたって使われている用語についても説明します。
【評価水準】
評価水準は市場価格のうち相続税評価額の占める比率で
次の算式により計算します。
〈算式〉
相続税評価額※1÷市場価格※2
※1.相続税評価額:自用家屋及び自用地としての価額
※2.市場価格:市場価格理論値⇒相続税評価額×評価乖離率
【評価乖離率】
評価乖離率とは市場価格と相続税評価額の差異の割合で
次の算式により計算します。
〈算式〉
①×△0.033+②×0.239+③×0.018+④×△1.195+3.220
①区分所有マンションの築年数
②区分所有マンションの総階数指数(総階数÷33が1.0超の場合は1.0)
③区分所有マンションの所在階
④区分所有マンションの敷地持分狭小度(敷地利用権の面積÷区分所有マンションの専有面積)
上記の算式については、本算式の自動算式ツールの提供が予定されています。
複雑な内容のため無理に押さえなくて問題ないでしょう。
タワマン節税の改正については令和6年1月1日以降の相続又は贈与により取得した
財産について適用されます。
今回の改正は、パブリックコメントを通じて後ほど正式な通達の改正が発表される予定です。
最終的な評価が確定した場合には、改めてコラムでアナウンスさせていただきます!
前回はタワマン節税の改正の前に平成29年度の固定資産税等の改正について説明しました。
今回は改正案のうち対象となるマンションについてご説明します。
【対象マンション】
以下の要件を満たしているマンションを対象とします。
・区分所有であるマンション(建物及び敷地権)であること
・居住用専用のマンションであること
・総階数2階以下のマンションを除く
・区分所有された居住用部分が3つ以下であって、全てが所有者とその親族の
居住用であるもの(いわゆる二世帯住宅を除く)
まとめると、区分所有建物である居住用マンションの一室が対象となります。
併せて2階以下のマンションや二世帯住宅は対象外と考えておけば大丈夫でしょう。
それでは、マンションの評価はどのようになるのでしょうか?
マンションの評価方法については次回のコラムでお伝えします!
前回は非上場株式の相続税の納税猶予について説明しました。
今回はタワマン節税において、改正の動きがあったためご説明します。
タワーマンションの評価については、以前から市場価格と相続税評価額との大きな乖離があり、
平成29年度には固定資産税・不動産取得税についての改正が行われました。
今回の改正では、マンションの実態を踏まえた適正な評価額について、国税庁の有識者会議による
評価通達の改正案が完成し、パブリックコメントで公開されました。
今回は評価通達の改正案に至る経緯として平成29年度に行われた固定資産税等の改正からご説明していきます。
【改正趣旨】
タワーマンションの高層階と低層階の間には、分譲価格の格差があるにもかかわらず
固定資産税額の負担は両者とも同額でした。
そのため階層の差異による格差のバランス調整を図るため、住戸の階層に応じた
固定資産税額の計算方法の改正が行われました。
【対象となるマンション】
以下のすべての要件を満たすマンションが該当します。
・高さが60mを超える建築物であること
・複数の階に住戸が所在していること
要件を満たす建物は居住用超高層建築物として改正の対象とされています。
【計算方法】
下記の算式により固定資産税額を計算します。
〈算式〉
各住戸の固定資産税額=マンション1棟の固定資産税額×各住戸の専有床面積×補正率※÷専有床面積(補正後)の合計
※補正率:100+(10/39)×(居住用に供する専有部分が所在する階-1)
改正のポイントは補正率です。
上記算式によると、補正率を乗じることで高階層になるほど按分の元となる専有床面積が大きくなり
固定資産税額の負担が増えるようになっています。
なお、マンション1棟の固定資産税額は改正の対象となりませんでした。
また、不動産取得税も固定資産税同様に上記算式により計算されます。
以上が平成29年度の固定資産税等の改正となります。
今回の改正では満を持して相続税評価額の改正が行われますが、
具体的にはどのように評価されるのでしょうか。
相続税評価額の改正については次回のコラムからお伝えします!
前回は相続時精算課税に係る土地建物の価額の災害発生時の特例について説明しました。
今回は改正項目ではないのですが、某芸能事務所の役員留任問題で話題となっている
非上場株式等の相続税の納税猶予についてご説明します。
まずは制度の概要から確認していきましょう!
【概要】
非上場株式等の相続税の納税猶予は中小企業の事業承継を支援する目的で
事業を承継する事を要件として、非上場株式に係る相続税を猶予し、
一定の要件を満たした場合に相続税を免除する制度です。
それでは制度を受けるにあたって、どのような要件が必要となるのでしょうか?
非上場株式の相続税の納税猶予の適用要件と一連の流れについて説明します。
【適用要件】
●被相続人の要件
相続開始直前に以下の要件を満たしていること
・会社の代表権を有している
・相続開始直前において被相続人の株主グループが会社議決権の50%超を保有していた
・会社の筆頭株主である
●後継者である相続人の要件
・相続開始日の翌日から5ヵ月以内に会社の代表権を有している
・相続開始時に後継者である相続人の株主グループが会社議決権の50%超を保有している
●対象会社の要件
次のいずれにも該当しない会社であること
・上場会社
・中小企業者に該当しない会社(注)
・風俗営業会社
・資産管理会社
(注)中小企業者に該当しない会社
次のいずれかの法人が該当します。
・資本金の額が1億円超の法人
・大法人(資本金の額が5億円以上である法人)との間にその大法人による完全支配関係がある法人
【非上場株式等の相続税の納税猶予制度の一連の流れ】
・相続開始日前:特例承継計画を会社所在地の都道府県知事に提出
・相続開始日から8ヵ月以内:同上県知事に円滑化法認定の申請
→円滑化法認定の通知:認定書又は認定しない旨の通知書が届く
・相続開始日から10ヵ月以内:相続税申告書の提出
→認定書を添付して被相続人の住所地の税務署長に提出
・申告期限から5年間:年次報告書の提出
→毎年、会社所在地の都道府県知事に提出
・申告期限から5年間:継続届出書の提出
→毎年相続人の住所地の税務署長に提出
・申告期限から5年経過後:3年ごとに継続届出書の提出
→相続人の住所地の税務署長に提出
・相続人の死亡ほか一定の免除事由が発生した場合:免除届出書又は免除申請書の提出
→届出書は6ヵ月以内、申請書は2ヵ月以内に相続人の住所地の税務署長に提出
まとめると、中小企業である会社の代表権を有していた被相続人から事業を承継した相続人は、
相続税の申告期限から5年間、代表権と株式の保有を継続することを要件に非上場株式に係る相続税が猶予されます。
その後5年間は株式の保有を継続することと3年ごとの継続届出書の提出を要件に納税が猶予されます。
最終的には、原則後継者である相続人の死亡日に猶予分されていた相続税が免除されます。
今回、某事務所の件で問題となったのは、会社内の人事を変更したい状況にあっても
後継者であった代表が現職を留任した点にあります。
なぜなら、納税猶予は前任の代表者死亡時から最低でも5年間は代表職を継続しないと
今まで猶予されてきた相続税を支払わなければならなくなるためです。
このように納税猶予制度は大きな優遇制度でメリットが大きい半面、事業継続の要件が
満たされなくなると、猶予されていた相続税を利子税と共に支払わなければならない
デメリットも有しています。
制度の導入をお考えの場合には、一旦導入すると簡単には止められない制度のため、
事業承継が継続出来るのかについて慎重に検討することをお勧めします!
前回は結婚・子育て資金の非課税の改正について説明しました。
今回は相続時精算課税贈与により取得した土地又は建物が災害により被害を受けた場合の
相続税評価額について改正がありましたのでご説明します。
まずは改正の前提から確認していきましょう!
【前提条件】
・相続時精算課税贈与により贈与者から土地建物を取得
・贈与日から贈与者の死亡に係る相続税の申告期限までに災害※1により一定の被害※2を受けた
※1.令和6年1月1日以後に発生した災害に限る
※2.土地建物の贈与時の価額のうち被害額が10%以上の被害
【相続時精算課税に係る土地建物の価額の特例を受けるまでの流れ】
・災害発生日から3年以内に受贈者の納税地の税務署長に罹災証明書を添付した一定の申請書を提出
・上記の納税地の税務署長により申請書につき承認を受ける
相続時精算課税贈与により取得した財産について贈与者の死亡により相続があった場合、
今までは相続税の計算上、災害により被害を受けた場合でも贈与時の時価のままで評価されていました。
今回の改正では、災害による被害額については一定の要件の下、被害額を控除した残額をもって
評価できる事となりました。
相続時精算課税贈与により取得した土地建物が災害により被害を受けた場合には
相続の際、評価額から被害額を控除できるかの確認をお忘れなきようご注意ください!
前回は、教育資金贈与の非課税のうち相続税の改正について説明しました。
今回は結婚・子育て資金の非課税についても改正がありましたのでご説明します。
その前に結婚・子育て資金贈与の非課税制度について確認していきましょう!
【前提となる適用要件】
・贈与者:直系尊属(父母や祖父母など)
・受贈者:18歳以上50歳未満の子や孫など(前年の合計所得金額が1,000万円以下の人に限る)
・非課税限度額:1,000万円
【教育資金贈与の非課税の流れ】
・贈与者が金融機関に結婚・子育て資金口座を開設
・金融機関経由で受贈者の納税地の税務署長に結婚・子育て資金非課税申告書を提出
・贈与者が口座へ入金
・受贈者が結婚・子育て資金を支払い、支払先から領収書を受領する
・契約の払出方法に従って上記領収書を金融機関へ提出、資金を引き出す
・受贈者が50歳に達した時点で結婚・子育て資金口座が契約終了
・契約終了時に口座残額がある場合、残額に贈与税課税
まとめると、父母や祖父母などが金融機関を通じて1,000万円までの範囲で
一括贈与した資金のうち結婚・子育て資金に充てたものは非課税とされます。
契約終了時に残額があった場合、残額部分に贈与税が課税されます。
今回の改正では契約終了時に使用される贈与税率について変更がありました。
【改正点】
特例税率→一般税率へ変更
・特例税率:親→子※又は祖父母→孫※の贈与に適用される税負担の少ない税率
・一般税率:特例税率対象者間以外での贈与に適用される税負担の大きい税率
※贈与年1月1日において18歳以上の受贈者である子又は孫に限る
結婚・子育て資金贈与の非課税制度は延長されましたが、内容は今まで通りの制度ではなくなりました。
契約終了時に口座に資金を残すと税率変更により贈与税の負担が大きくなってしまいます。
改正は令和5年4月1日以後の贈与につき適用されます。
これから結婚・子育て資金贈与の非課税をお考えの場合には、契約終了時に残額が出ないよう
予め計画を立ててから贈与することをおすすめします!
前回は教育資金贈与の非課税の内容の改正について説明しました。
前回は贈与税の改正でしたが、相続税にも改正があったのでご説明します。
改正前は、教育資金口座の契約終了前に贈与者が死亡した場合、
口座残額があったとしても以下の受贈者には相続税が課税されませんでした。
【受贈者の要件】
・23歳未満である
・学校等に在学中である
・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講中である
今回の改正では上記の受贈者に相続税が課税される事となりました。
【改正点】
口座残額の相続税の取り扱い:非課税→課税
ただし、上記の受贈者全てに相続税が掛かる訳ではありません。
注意すべき点は、贈与者死亡時の相続税の課税価格の合計額によって
口座残額の相続税の課税関係が異なります。
贈与者死亡時の相続税の課税価格の合計額が
・5億円超→課税される :改正点
・5億円以下→非課税:今まで通り
本改正は令和5年4月1日以後の贈与につき適用されます。
これから教育資金贈与の非課税をお考えの場合には、
贈与者の死亡時の取り扱いを考えて贈与することをおすすめします!
前回は、贈与税の非課税の適用期限延長の改正について説明しました。
今回は教育資金贈与の非課税の内容についても改正がありましたのでご説明します。
その前に教育資金贈与の非課税制度について確認していきましょう!
【前提となる適用要件】
・贈与者:直系尊属(父母や祖父母など)
・受贈者:30歳未満の子や孫など(前年の合計所得金額が1,000万円以下の人に限る)
・非課税限度額:1,500万円
【教育資金贈与の非課税の流れ】
・贈与者が金融機関に教育資金口座を開設
・金融機関経由で受贈者の納税地の税務署長に教育資金非課税申告書を提出
・贈与者が口座へ入金
・受贈者が学校等の教育機関へ授業料などを支払い、領収書を受領する
・契約の払出方法に従って上記領収書を金融機関へ提出、資金を引き出す
・受贈者が30歳に達した時点で教育資金口座が契約終了
・契約終了時に口座残額がある場合、残額に贈与税課税
まとめると、父母や祖父母などが金融機関を通じて1,500万円までの範囲で
一括贈与した資金のうち教育資金に充てたものは非課税とされます。
契約終了時に残額があった場合、残額部分に贈与税が課税されます。
今回の改正では契約終了時に使用される贈与税率について変更がありました。
【改正点】
特例税率→一般税率へ変更
・特例税率:親→子※又は祖父母→孫※の贈与に適用される税負担の少ない税率
・一般税率:特例税率対象者間以外での贈与に適用される税負担の大きい税率
※贈与年1月1日において18歳以上の受贈者である子又は孫に限る
教育資金贈与の非課税制度は延長されましたが、内容は今まで通りの制度ではなくなりました。
契約終了時に口座に資金を残すと税率変更により贈与税の負担が大きくなってしまいます。
改正は令和5年4月1日以後の贈与につき適用されます。
これから教育資金贈与の非課税をお考えの場合には、契約終了時に残額が出ないよう
予め計画を立ててから贈与することをおすすめします!
前回は、生前贈与加算の改正開始時期について説明しましたが、
生前贈与加算以外にも改正の対象となったものがありました。
内容についての改正ではありませんが、贈与税の非課税について
適用期限の延長の改正がありましたので、列挙させていただきます。
【適用期限の延長】
・教育資金贈与の非課税:令和5年3月31日→令和8年3月31日
・結婚・子育て資金贈与の非課税:令和5年3月31日→令和7年3月31日
なお、住宅取得等資金贈与の非課税については令和5年12月31日が
適用期限となっていましたが、適用期限の延長はありませんでした。
令和5年で制度終了の見込ですので、マイホーム購入の際に資金援助を
お考えの場合には令和5年末までの贈与の検討をお忘れずに!
前回のコラムでは、暦年課税贈与のうち生前贈与加算について
【生前贈与加算の加算期間の延長】
生前贈与加算の加算期間3年→7年へ延長
という改正があり加算期間が延長されるというお話をしました。
それではいつの贈与から延長されるのでしょうか?
今回は生前贈与加算の加算期間の延長開始時期についてお話します!
生前贈与加算の改正については
【適用開始時期】
令和6年1月1日以後の贈与から適用開始
となっています。
ただ、来年から7年に延長されるなら、令和5年以前では加算されなかった期間が
来年以降の贈与は過去に遡って加算されるのではという疑問が浮かびませんか?
結論から申し上げますと、遡っての加算はしません。
令和6年1月1日から唐突に延長する訳ではなく段階的に期間の延長を行います。
具体的には、相続開始の時期により以下の期間になっています。
・令和6年1月1日~令和8年12月31日⇒相続開始前3年間
・令和9年1月1日~令和12年12月31日⇒令和6年1月1日~相続開始日
・令和13年1月1日以降⇒相続開始前7年間
今後贈与を行うにあたっては、生前贈与加算の加算期間を念頭に置いて
贈与する事ををおすすめします!
令和5年度の税制改正大綱により 、相続時精算課税制度については
【新制度】年110万円までの基礎控除の創設
が導入され、贈与税の基礎控除枠が新設された旨を前回のコラムでお伝えしました。
また、改正では相続時精算課税だけでなく、暦年課税贈与にも大きな改正がありました。
【生前贈与加算の加算期間の延長】
生前贈与加算の加算期間3年→7年へ延長
なお、生前贈与加算とは
・相続又は遺贈により財産を取得した人が
・被相続人から生前に受けた贈与のうち
・相続開始前3年以内のものについては相続財産に加算する
という制度です。
生前贈与加算があると、相続直前に行われた贈与はなかったものとして
相続財産に含めて相続税を計算し直します。
ただし、支払った贈与税があれば相続税から控除できます。
今回の改正ではこの生前贈与加算の加算期間を相続開始前3年以内から
7年以内へと延長する事になった訳です。
今回の生前贈与加算の加算期間の延長により今までのような
暦年課税贈与による節税は難しくなるかもしれません。
今後、生前贈与を行う場合は生前贈与の加算期間に注意した上での
贈与を行う事をおすすめいたします!
令和5年度の税制改正大綱が昨年末に発表されました。
改正の中では相続時精算課税制度について以下の新制度が追加されています。
【新制度】
年110万円の基礎控除の創設
相続時精算課税制度は
・生涯合計2,500万円までは贈与税が課税されない
・相続時には2,500万円の控除がなかったものとして相続税が課税される
・相続税課税制度を選択した場合、暦年課税贈与に戻れない
上記の特徴がありますが、新制度の追加により相続時精算課税制度を選択していても
・年110万円までは贈与税も相続税も課税されない
というメリットが加わったことになります。
本制度は令和6年1月1日以降の贈与につき適用されます。
ただし、新制度は今までの相続時精算課税制度の控除に追加された制度であり
暦年課税贈与の基礎控除が併用できる訳ではない点にご注意ください!
不動産取得税とは土地や建物などを取得したときに払う税金です。
不動産取得税の計算方法は次の通りとなっています。
【計算方法】
不動産の価格※×3%(住宅以外の建物は4%)
※不動産の価格:固定資産課税台帳に登録されている価格
不動産取得税がかかるのは主に次のような理由で不動産を取得したときです。
・購入
・交換
・建物の建築
・贈与
有償か無償かにかかわらず不動産を取得すれば課税されるという特徴があります。
また、登記の有無も関係なく課税されます。
原則として不動産を取得した場合に課税される不動産取得税ですが、
相続により不動産を取得したときは課税されません。
相続税対策として相続前に不動産の贈与をお考えの場合には、
贈与税以外にも不動産取得税も併せて課税されることをお忘れなく!