タワマン節税の改正案①

前回は非上場株式の相続税の納税猶予について説明しました。

 

今回はタワマン節税において、改正の動きがあったためご説明します。

タワーマンションの評価については、以前から市場価格と相続税評価額との大きな乖離があり、

平成29年度には固定資産税・不動産取得税についての改正が行われました。

今回の改正では、マンションの実態を踏まえた適正な評価額について、国税庁の有識者会議による

評価通達の改正案が完成し、パブリックコメントで公開されました。

 

今回は評価通達の改正案に至る経緯として平成29年度に行われた固定資産税等の改正からご説明していきます。

 

【改正趣旨】

タワーマンションの高層階と低層階の間には、分譲価格の格差があるにもかかわらず

固定資産税額の負担は両者とも同額でした。

そのため階層の差異による格差のバランス調整を図るため、住戸の階層に応じた

固定資産税額の計算方法の改正が行われました。

 

【対象となるマンション】

以下のすべての要件を満たすマンションが該当します。

・高さが60mを超える建築物であること

・複数の階に住戸が所在していること

 

要件を満たす建物は居住用超高層建築物として改正の対象とされています。

 

【計算方法】

下記の算式により固定資産税額を計算します。

〈算式〉

各住戸の固定資産税額=マンション1棟の固定資産税額×各住戸の専有床面積×補正率※÷専有床面積(補正後)の合計

※補正率:100+(10/39)×(居住用に供する専有部分が所在する階-1)

 

改正のポイントは補正率です。

上記算式によると、補正率を乗じることで高階層になるほど按分の元となる専有床面積が大きくなり

固定資産税額の負担が増えるようになっています。

なお、マンション1棟の固定資産税額は改正の対象となりませんでした。

また、不動産取得税も固定資産税同様に上記算式により計算されます。

 

以上が平成29年度の固定資産税等の改正となります。

今回の改正では満を持して相続税評価額の改正が行われますが、

具体的にはどのように評価されるのでしょうか。

 

相続税評価額の改正については次回のコラムからお伝えします!

 

2023年10月19日