相続税申告への手始めとして、葬式費用の整理のほか、医療費の精算があります。
まずは、「未払医療費」です。
税目をまたぐので混乱しがちですが、医療機関への精算とあわせてその後の処理も検討していきましょう。
1 相続税申告での債務控除
「未払医療費」は、本来、被相続人の預貯金等から当然に精算されていたはずのものです。
現実には、精算しないままご逝去されたことで、未払で残ったいわゆるマイナスの財産(負の遺産とも。)=債務です。
これを相続人が医療機関へ代わりに精算することは、被相続人の病院への債務を相続人が引き継ぐことと考えます。
債務を引き継ぐので、債務控除の対象になるということです。
「立替医療費」の場合も多いでしょう。
未払ではなく、生前にかかった被相続人の医療費を相続人が立て替えていたものです。
この場合は、相続開始の日前の精算であっても、未払と同様に債務控除の対象になります。
被相続人の病院への債務ではありませんが、相続人への債務ではありますからね。
(被相続人から相続人への精算を前提にしますので、例えば扶養義務者間では債務にはならないこともあります。)
被相続人が生前に精算していた医療費は、当たり前ですが、債務ではありませんのでご注意ください。
2 所得税申告での医療費控除
「未払医療費」は相続人の所得税申告、いわゆる確定申告で、医療費控除の対象になります。
ただし、要件が2つあります。
2つの要件をどちらも満たさなければ、医療費控除の対象にはなりませんので注意しましょう。
(1)相続人が「未払医療費」を精算したこと
(2)被相続人の医療機関受診時に、その相続人が被相続人と生計を一にしていること
要注意は(2)です。
相続人であっても、被相続人と生計を別にしていることも少なくありません。
そもそも、年末までに精算していることが大前提になります。
年末に精算が間に合わなければ、翌年分の確定申告になるでしょう。
それでは、「立替医療費」はどうでしょう。
(1)を満たしませんね。
被相続人が生前に精算していた医療費も同様です。
医療費控除の対象にはならないのでしょうか。
これは被相続人の準確定申告で、医療費控除の対象になります。
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